松浦パンの破産後、学校給食の製造とトリアノンの屋号を受け継いだのは、新町に本社を構える企業「(株)松村乳業」だった。
とりせん群馬町店のトリアノンと松村乳業が中心になり、学校給食存続に向けてパン工場の再建が進められていく。
当初は1店舗だったトリアノンも、とりせん菅谷店を加える事で2店舗となり、学校給食の継続も加速。かつての「群馬パンセンター」の名から取って、新会社「群馬フードサービス」が誕生する。
(群馬フードサービス公式サイト)
120年もの歴史を抱える老舗の看板や、創業者松浦氏の姿はもう無い。百貨店で店を構えていたテナントも、大勢の従業員も居ない。
有るのは給食を作るための工場と工員、それからスーパーの片隅に置かれたパン焼き窯と数名の店員だけ。
そこに知名度は無く、老舗ならではのコネクションもない。
新設の企業、まだ無名の製パン業者に重く伸し掛かる「トリアノン」の屋号と、かつての常連客。
外回りの成果や、観光協会の協力により、少しづつ官公庁の売店を中心に販売スペース増やしていき、慣れない販売POPや広告を置いて行くことで、少しずつ認知度を上げていく。
ようやく他のスーパーや百貨店でも、まだ業務委託という形ではあるがパンを置いて貰えるようになり、迎えた設立5年目を襲ったのが「新型コロナウイルス問題」だった。
収入源となる給食を休止にさせられた新設の会社が持つのは、給食パンを作るための「本社工場」と「パン製造販売店2か所」だけ。政府からの休止補償はほとんどなく、委託販売スペースには悲痛な「お願いします!パンを買って下さい!!」の赤文字が並べられた。
宣伝のためにと、既に前年からSNSを立ち上げていた「トリアノン菅谷店」が中心となり、本社公式Twitterとインスタグラムの初開設。
ようやくTwitter等を通じて少しずつ支援の輪が広がり、前橋のレストランでの店頭販売や通販販売も動き出した。
(公式インスタグラムより)
ようやく令和2年6月に学校給食再開され、新規委託販売店舗も多数追加。
このまま学校給食さえ順調に続けば安泰だが、県内では給食事業からの撤退をはじめた企業も登場し、学校給食の存続すら危うくなるという、更なる厳しい時代が待ち受けている。
新型コロナの影響も落ち着いてきた近年、ローカルパンである「タイヨーレン」と「バンズパン」の存続も願い、更なる継続へと向かっていければ思う。
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