給食の献立表に記された、パンの種類に胸を躍らせた日々が有った。
クリームのたくさん入ったコッペパンに、アーモンドプードルの揚げパン。
牛乳やシチューと一緒に食べながら、クラスの仲間と笑い話をしながら、スピーカーから流れる音楽に耳を傾ける。
そんな当たり前の教室の風景に一筋の風が舞い降りて、友人たちとの談笑や交流は病への感染が危惧される不用意な行動へと移り変わり、学校給食そのものを楽しめるモノではなくなってしまった。
給食のみならず、トングを握りしめ、どれを買おうか悩みながらトレイに乗せていた店頭のパンは、完全な個包装が推奨されるように変化を遂げる。
新商品を伝える試食は危険な物になり、店員との接触は無機質なビニール越しでの対応。
頬にはマスク、指先は除菌スプレーで彩られ。人との会話は電話越しやインターネットを通した交流が求められる。
たったの約3か月で、日本人の食生活と環境はかつてない大きな変化を強いられた。
悲観する者、政府に対して異を唱える者。様々な暗いニュースが世の中を覆いつくし、世界中に不況の波が広がっていく。
こんな時に何が出来るのか、何をすればいいのかと思い当たり、出てきた答えは「地元のパンを守ろう」という、インディーズゲームサークルとしては、かなり道を外れた結果だった。
(公式インスタグラムより)
自粛の影響で図書館に行く事も出来ず、資料らしいものも足りない状況下での本書の製作。ただ、自分が好きだったパンの味を守りたい。
それだけで公開した歴史のため、ご覧頂いて過分に疑問に思われた方にはただ申し訳ない。
しかし、もし可能であれば、何かの支援になりたいと思って頂けたならば、どうか「群馬フードサービス」さんという会社が有って、かつての松浦パンを引き継いでいる事を覚えて頂ければと思う。
そして願わくば、群馬県内に「トリアノン」の味と給食パンが広がっていき、ローカルパンとして終息後の次代へと繋がって行けたらと願いたい。
そして、群馬フードサービスさんを始めとする、給食事業者の今後の継続と事態の収束を期待して。
2020年6月11日 irupa-na Label
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