山田ミネコの最終戦争伝説な歴史


   
 定価 480円

 
 発行 1983/10/10
代表作パトロールシリーズ、白泉社版と秋田書店版の過去話となる。

第8章「神聖ミネコ氏帝国の崩壊と墜落」

 ついに三作もの連載を抱えたミネコ氏は、ファンブックにハードカバー版が作られるまでの人気を誇り、少女のみならず少年たちをも虜にしていく。
 しかし、最終戦争伝説の躍進とは逆にSFブームは 青年誌の登場と共に読者層が流れていき、新たなジャンル 「レディースコミック」までもが追加され、ミネコ氏も恋愛物に手を出すなどSFの下火が近づいてきた。

       珍しいオフィスラブストーリー。

 キャプテン翼がジャンプで連載されたことによる、「やおい掛算論法」でコミックマーケットが参加者を飛躍的に増やし、世に新たな アニパロブームが広がる。
 ドクタースランプに聖闘士星矢、北斗の拳と少年ジャンプは人気作品に囲まれて部数を伸ばし、うる星やつらにみゆきと少年サンデーのラブコメ路線も後に控え、勇気・友情・勝利の合言葉で少年漫画は子供たちに夢を与え、大きなお姉さん達に男性同士の掛算計算を楽しませた。

  中古コミック雑誌 月刊マンガデュオ 1985年3月号 Duo

 SF作品を連載していた雑誌社も影響を受け、3月号を持って月刊マンガDUOは休刊。クライマックスへと向かっていた「最終戦争伝説」は打ち切りとなり、続きを載せてくれる掲載誌も見つからないまま、原稿料の出ない単行本描き下ろし90ページ。
 ・・・という、ベテラン漫画家も真っ青な進行が進む。

  

 他誌の連載を抱える中での描き下ろしは困難を極めたが、草原の狼の連載が落ち着いたことで何とか書き終え、新たなSFアニメディアでの初のファンタジー作品「アフメット王国物語」の連載も始まった。
 最終戦争伝説で書ききれなかったエピソードの補完作品「神聖都市伝説」の連載も決まり、何とか漫画家としての立て直しを始めた。

   が、

 漫画の方も進んでいき、お話もクライマックスに近づき、読者も熱が入ってきた所で、月刊コミックリュウは突如の編集部方針変更。
 当初は誌面リニュアールのみだった告知が一変し、人気作だったパトロールシリーズは、それは見事に打ち切られた。

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 告知されるはずの描き下ろし単行本は、翌月になってもアナウンスされることはなく、当方も怒りのあまり掲載誌をビリビリに引き裂いて利根川に流し、「レイクの正体がエデにバレた」というクライマックスで盛り上がりまくりな展開での打ち切りに「触らないで、徳間書店なんて大っ嫌い!」と叫ぶ事が山田ミネコ氏ファンの間で流行った。

   30年ぶりにヤフオクで買い直し。

 ついに数年で、2連載同時打ち切り&パトロールシリーズは単行本が出るかどうかも作者ですらわからないという悲劇で神聖ミネコ氏帝国は崩壊した。
 最終戦争伝説は「神聖都市伝説」の連載終了と共に終わりを告げ、ミネコ氏は幽霊物という更に新たなジャンルホラー漫画へ進むべく、秋田書店ビバプリンセス掲載となった「ふふふの闇」の連載へと向かう。

  

 さすがに2作品の連載を掲載してくれる雑誌は無く、SFブームの終焉と共に最終戦争伝説第一期は幕を閉じた。


  第9章「徳間書店の逆襲」